白川 綱彦は困惑していた。

姉小路 光彦は白川家の応接間のソファーに座り、頭を抱えていた。

白川 綱彦は、一族の若手の中でも年長で要の存在であった。
姉小路 和彦・光彦兄弟、そして和彦の亡くなった妻とは共通のいとこである。
つまり、和彦は又いとこにあたる女性を妻にしていたのである。

白川が管理している会館は一族の冠婚葬祭に何らかの利用がされていた。
姉小路 和彦の再婚ともなれば本来は先妻と同様に結婚式に使用されてもおかしくはなかった。

「光彦君、本当にそうなのか?
あの実直な和彦君らしからぬ行動だから・・・、何とも信じられないのだが・・・?」
白川は顎にたくわえたヒゲをなでつつ光彦に言った。

「綱彦兄さん、僕は嘘を言わない。それに義姉さんからくれぐれも子供達を頼むと言われている。
それを考えても、亡くなった義姉さんに何と言えばいいか分からないんだ。
それに今、僕はアメリカに拠点を置いている。
本当は時々様子を見に帰国の頻度を高めるつもりだったが、和彦兄さんとは物別れに終わってしまった。
綱彦兄さん、お願いだ。
僕の代わりに子供達を見てもらうわけにはいかないだろうか?」

光彦は今まで白川に頼み事をしたことがなかった。
しかも、すがるように頼みごとをするのは初めての事であった。

「光彦君、君の頼みごとは聞き入れた。
だが、僕がその女性を直に見て判断する。
君の言うとおりの女性なら僕は君のサポートを喜んでする。
それでいいかい?」

白川の言葉に光彦は安堵した。
「ありがとう、綱彦兄さん!」

光彦が帰った後、白川は秘書の二宮を呼んだ。

「君、この女性の素行調査を頼む!」

にわかに胸騒ぎを感じる白川であった。

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