和彦の妻が亡くなってから10ヶ月が過ぎようとしていた。

年に一度の紅葉流の家元主催の発表会が催されていた。
今年は例年以上の観客を動員していた。

今回の会の主人公は智子であった。
2ヶ月前に新聞で「姉小路 和彦氏が再婚!お相手は矢口 智子嬢!」と紙面を飾った為であった。

家元の紅葉 都も今会はこの時とばかりにお金に糸目を付けずに豪華な演出をした。
何と言っても、紅葉流は世間に知れ渡った会とはいえ格付けを世間に広めるにはまたとない機会であった。

舞台のトリを務める智子の控え室に家元の都自身が訪ねてきた。
通常は逆である。
それほど「姉小路」と言う名は政財界にもとどろく名家であった。
その後継の和彦の心を射止めた智子を周囲の人間はもちろん世間の注目の的となっていた。

百合子と智子は久しぶりに表舞台に立てた事に感慨深いものを感じていた。

これからの未来は光溢れるものであろうと二人は思った。

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