/そんな事が何度となくあったが、遂に和彦の妻が息を引き取った。
4人の子供が見守る中で、和彦が遅れて病室にやってきた。
「お父様、遅いわ!何をやっていたの?!」

まだ小学生の一番上の長女の沙代子は、母が亡くなった直後に父の和彦に言った。
泣き崩れる幼き弟や妹を必死に守るように励ましている沙代子の言葉に和彦は一言も反論できないでいた。

痩せ衰えた妻の顔を直視できない和彦であった。

和彦は妻の臨終間際に言葉が交わせなかった。
それでも、息を引き取る間際に病室に飛び込んだおかげで、周囲の体裁は保てていた。

葬儀は和彦が喪主であったが、全ては姉小路家の使用人が采配した。
この日の為に、亡き妻が生前に段取りをしていたのであった。

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