高級なフランス料理で、味には定評のある店に和彦と智子はいた。
ここはセレブなお客が多い店で、出入り口も3か所あり顔をさすのが嫌な人間にとって格好の場所であった。

和彦は智子と違い慎重であった。
今や、妻の実家の後ろ盾があってこその和彦であった。
病身の妻の見舞いよりも智子を優先している事が、この時点で妻の実家に知れては和彦自身の身の破滅にもなりかねない思っていた。

最近の彼は時々、妻が死んでくれないだろうかと願望するようになっていた。
その意味では、智子と気持ちが重なりだしてきたのかもしれない。

レストランでの静かでロマンチックな時間が始まりだして、メインの料理を2口ほど食したタイミングで、
姉小路家の執事の田宮が、2人の前に現れた。

「旦那様、奥様がご危篤となられました。すぐにお帰りくださいませ。」

和彦は顔色を変えて慌てていた。
しかし、智子に「君は、食事を終わるまでゆっくりしてから帰りなさい。ここはちゃんとしておく・・・。」
と言いながら和彦は帰っていった。

残された智子は、開けたばかりのワインの瓶に手をかけグラスに注いだ。
「美味しい!」そう言いながら、メインの料理を美味しそうに食べながらワインを満足そうに飲みほしたのであった。
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