あれから矢口家には遠ざかった美智子であるが、百合子の事は気がかりでならなかった。
智子からは、頻繁に品物を売りたいと連絡がきたが、智子の経済感は共鳴できないでいたので、それとなく遠ざかっていた。

百合子は困っていた。
姉小路 和彦と智子の交際は順調であったが、美智子が遠ざかってしまってからは百合子の思い通りに事がなかなか進まないでいた。

慎吾の病態は益々悪化を辿っていた。
蓄えは、底を尽きかけていた。

早く、和彦の妻が亡くなってくれないと事が運ばないと百合子と智子は思うようになっていた。

「不倫」その言葉では片付けられない状態を和彦は悩んでいた。
今も妻を和彦は愛していた。
それとは別に日々痩せて弱々しくなっていく、彼女の顔をまともに見れなくなっていた。

最近、激痛に耐えかねた妻は痛み止めのモルヒネを医師が使用するようになった為、妻の意識がとぶようになっていた。

和彦は子供4人を残して逝ってしまうであろう妻の最後の言葉を聞くのがしのびなかった。

その反面、智子との時間を取るようになっていた。
そして、和彦は現実から逃避するように智子にのめり込んでいったのである。

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